2020年6月 Ver.1

子ども達の支援に関わる皆さまへ

あなたは、子ども達に関わりながら生きていて辛くなることはないでしょうか?

私たちは、それぞれの思いがあって、学校生活や学習継続に難しさを持つご家庭の近くでそれぞれの活動に従事しています。

皆さんと同様に、生きていることに意味を感じなくなった子ども達や、そのそばにいるご家族と関わり、歩み出しを応援することもあります。その時により目を向けたいのは、決まった解決方法ではなく「子どもの言葉と気持ち」であることを、日々確認しています。

問題解決ということに一生懸命になりすぎると、【解決したい人は誰なのか】、【その子は、本当はどうありたいのだろう?(子どもの本当の願い)】という一番大切なことを見失ってしまうことがあります。けれども、それがその子どもの自己選択、自己決定の権利を損なってしまう場合があることを忘れてはならないでしょう。

子どもたちは立場的には弱い存在です。

【誰かの期待に応えること】を大人よりももっと忠実に優先してしまう可能性があります。

【こんなことを言ったら、この人は怒るかな…】と空気を読んで、約束したり行動したりした結果、それを大人が喜ぶのだと分かれば、ずっとそのように行動し続けていくことこそ大事であると学ぶでしょう。

特に、「学校に行くこと」や「勉強すること」は世の中の大前提と思われていて、「行く」「やる」と約束をしたのにそうならなかった時、約束した相手の顔が見たくない、約束しても無理なのだ…と思ってしまうこともあるでしょう。

私たち子どもを支援するものは、子ども本人が一番自分にガッカリしていることに気づかなくてはなりません。

登校や勉強が優先されるあまりに、「約束」と口にする大人から遠ざかり口を閉ざす子どももいることを知る必要があります。

場面によっては、危機管理や秩序を教えることも必要ですが、本当に災害が起きた時に、まずは自分の身を守るのと同様に、日常生活の中でも「あなたは自分を守っていい。必ずしも誰かの期待に沿わなくてもいい時もある。」と教えてあげることも大切な支援です。

そして、子ども達は、より良く在りたい、自分の感情や思いを自由に表現したいという願いを持っています。言動の奥で見えにくいですが、それは子ども達の生きる力そのものです。その願い、その命を守るために心に留めておきたいことを考えてみました。

~子どもの願いを守る コマツナ(困ったらつながる)1・2・3~

  1. その子の「行く」「やる」には迷いはないかを知る
  2. その子の「助けて」「できない」「わからない」を聞ける大人がいるかを知る
  3. 支援者や保護をする大人にも頼れる人がいるかを知る

今すぐどうにもならないこともありますが、困ったらまずつながること。困っている今を共有できる人がいてようやく冷静に考えたり、伝えたりできることは、大人でもあると思います。

その上で、子どもが大人と対話しながら、自分でどう行動すればよいのかを選べるようになることが、生きる力を育てる支援だと考えます。

また、子どもの支援に関わるものとして、もうひとつだけ伝えたいことがあります。

それは、関わる保護者の気持ちも考えてみることです。

保護者は、子どものことなら、それこそ自分のすべてを後回しにしてでも、あらゆることを駆使して守ろうとします。ただ時にはそれが焦りや不安に変わり、子どもにとって良くない接し方をしてしまうこともあるかもしれません。

そんな時に、子どもの支援者が対応の正解・不正解を取沙汰しても、自信を失って、自責の念に駆られるだけです。

子どものすぐ近くにいる保護者が、自分すら見失いそうな時には、保護者にも一旦、落ち着いて起きていることを見つめなおす時間や、気持ちに共感してくれる誰かが必要でしょう。

保護者の安心感は子どもの心を和らげますし、客観的になってみることで、子どもにより的確な支援が届くことにもなります。

私たち支援者ができるのは「間違えを正すこと」ではなく、まず今に寄り添って一緒に「その子の未来」を模索していくことです。

そして、専門サービスへの照会や子どもに関わる機関との協働も、 時期を見計らい、未来に希望を持ち続けられるものでありたいです。

学校の休校や再開で戸惑う方々が増えている今、 大人も子ども「ひとりではない」と感じられるつながりを拡げ、大切なことは何かを共に考えてまいりましょう。

最後までお読みくださりありがとうございました。

一人一人の子どもにとっての最善を考え続けてゆきたい大人達より

協力・賛同団体:
発達障害児者親の会 そらいろぱれっと(長野)
一般社団法人異才ネットワーク(滋賀)
NPO法人「キーデザイン」 (栃木)
一般社団法人Happy・Education(山口)
一般社団法人世界マザーサロン(長野)

発信元: イクミナル