活動をご紹介いただきました。

「不登校支援」という冊子があります。

通信制高校やフリースクールなど、多様な学び場情報をふんだんに持っている学びリンクさんが発行し、各学校の養護教諭宛に配布されている冊子です。

7月発行の関東版にて、イクミナルの活動を取り上げていただきました。

記事の内容(一部)を、こちらに掲載いたします。

学びリンクさんは、情報が詰まった本を多く出版されています。

ぜひ一度サイトをのぞいてみてください。

 


不登校を包括するセーフティネット・必要なのは情報・交流・つながりの持続

「イクミナル」は、SNSで不登校に関するさまざまな情報発信をしたり、お子さんと学校のことで悩む保護者向けのコミュニティを運営している団体です。

子ども達の不登校を経験し、今はそれぞれ我が子に合った学びのスタイルを選択、経験を活かして他の不登校家庭のサポートをしている仲間と共に立ち上げました。

 

今は落ち着いて過ごしている私たちも、当時はとても苦しい思いを抱えていました。けれども、そこまで悩む必要はなかったのではないか、という共通見解を持っています。

もちろん今だからそう言える面もありますが、冷静に考えてみると、不登校という言葉を使いたくない段階があり、その時期に何か前兆をキャッチ出来ても良かったと思うのです。

けれどもそうできなかったのは、学校というレールを外れることがあまりにも未知で恐怖だったのでしょう。

経験してきたからこそ、学校というレールを外れても、少し視野を広げると、決して一人ではないことを私たちは知っています。

親の会や居場所も、ホームスクーリングを行う家庭も増えていますし、海外に目を向けると、不登校という概念はなく、フリースクール等に行くのも転校扱いです。

不登校を機にこれまで知り得なかった学びのスタイルを見聞きすることができ、交流していくうちに迷いが吹っ切れて、我が子に合った道を選んで過ごすようになります。中には学校に戻る子もいます。

 

一方で、親の会に参加しにくかったり、苦しい状況が続いている方も多くいらっしゃいます。

その違いが何かを断言はできませんが、不登校の先の経路情報と生の声を知る機会があると、孤独感が緩和されて比較的早期に外に目を向けられるようになると感じています。

まとめてみると、必要なのは情報・交流・繫がりの持続、これらの3要素です。

その気付きから、常識とは異なる見解にも触れることができるSNS、外出しなくても参加できる交流の場、そしてそこに仲間が常にいること、この3要素を備えたサークル活動をスタートさせることにしました。

この6月から試運転中で、日本各地に散らばる不登校家庭が距離に関係なく、オンラインの良さを活かしたタイムリーな交流がさっそく始まっています。

 

学ぶ機会を大切に

イクミナルの特徴のひとつは、学ぶ機会があることです。

20余年間に渡り不登校の子どもの生活面と学習面を支えて来られ、今は教員の育成にもあたられている星槎大学の岩澤一美先生が月1回「不登校理解セミナー」を行なってくださっています。

私たち経験者の想いを反映したテーマ設定で、知りたいことが聞ける講座になっています。

また交流会も月に1回行なわれています。こちらは、テーマトークとフリートークがあります。「お父さんの関わり」「勉強しなくて大丈夫?」など気になるテーマを取り上げては、ざっくばらんに話し合っています。

親の会だけでなく、常に交流ができて、学ぶ場もある。このように広く不登校を包括するセーフティネットにこれまで出会えませんでした。

保護者が心から安心することで緊張感が和らぎ、必ずお子さんにも変化が生まれる。その状況が交流や学びによって持続されやすい。そして、経路情報が見えることで落ち着いて充電できる。

このスタイルは自分達が欲しかった場でもあります。まだ試運転ではありますが、さっそく心温まる報告が届いており、とても嬉しく思っています。

 


フレキシブルな通信制高校に期待
具体的なイメージに触れる機会を

不登校に関する様々な情報は増えてきていますが、不登校になったばかりの頃は、なかなか他の経路と繋がりにくく、焦燥感を募らせがちです。

不登校経験者の体験談などを聴いたり読んだりしても、我が子に置き換えてみるとそこに至るまでのルートが見えずにまた不安になってしまうこともあります。

勉強は間に合うのか、社会性が育つのか、生活習慣はそれでいいのか、中学・高校からは行けるのだろうかという悩みや不安が山積みです。

そのような保護者の方にとって、通信制高校は大きな救いになっていくと思います。ただ、通信制のことはまだ知らない人も多いです。

子ども達も自分なりに考えていますし、関心もはっきりしてきて、何かしらの目的も出てくるころです。選択肢の広い多くの受け皿があることは、私もどんどん伝えていきたいです。

今、私が通信制高校について望んでいるのは、やはりその存在やそこで学ぶ子ども達の様子、そこからの経路など通信制高校に行ってからの生活が具体的にイメージできる情報に触れる機会の増加です。

同じような境遇にいたお子さん達がどのような経路をたどって成長していったかを知ることや、勉強以外にも興味の持てそうな活動の機会が豊富にあると知ることで、保護者の方も先を急がず、しっかり子どもの意欲を蓄えるサポートをしやすくなると思います。

また、全日制高校に行けないから通信制に目を向けるという流れとは別に、自分の趣味や特技を極めたり、社会に出ながら学ぶ方法として通信制高校があることを多くの方に知っていて欲しいです。

15歳から先の経路は多様化しているという意識が浸透してくると、子どもが不登校となった時に一番悩ましい勉強の遅れや、将来への不安も和らぐのではないかと感じます。

 

とはいえ保護者としては、ネットを使った学習に子どもが自主的に取り組めるのかという点や、取り組む分野を特定することで将来の可能性が選択の幅を狭めてしまうのではという懸念も持ちがちです。

それらの不安を軽減するためにも具体的な先行事例を知るチャンスがあると安心ですね。

 

子ども達が、勉強に対する意欲を失ったように見えても、実は学ぶきっかけを欲している子も多いです。

生活の中で意欲や自信を充電して、家にも社会にも安心の場があると実感できると、自然とあゆみだします。もどかしいですが、主役の子どもが主体的に動けるように学校側と共に見守る体制が築けるとよいですね。

 

多様化するニーズ、環境、機会へつなぐ

2016年の12月に教育の機会確保法が成立した流れを受けて、最近は、小中学生向けにもオンラインで学べるサービスが出現し、新しい教育メソッドも多く目にするようになりました。

利用できるサービスが増えるのは、不登校の子を持つ保護者にとっては嬉しいことでもありますが、期待感と現状のお子さんの状況とのギャップをより強く感じてしまう方もいらっしゃると思います。

そして、通学を迫られることが減ったとはいえ、まだまだ学校に通えないことで罪悪感を持ち、自分を責めている子、人の目が気になるから外に出にくい子、遊び相手がいなくてエネルギーを持て余している子ども達がいます。

保護者も、学校や周囲の方の配慮のない言葉や無理解に傷つき、社会や支援者に抵抗感を持ってしまうこともあります。

自分達の経験からも、どことも繋がれずに動き出せずにいる時こそ苦しいです。その段階の家庭に必要なのは「支援」ではなく「支縁」だと思います。不登校の子は、弱者や被害者ではなく、ニーズが多様化しているだけです。

学校と保護者双方が、学校だけが全てと思わずにいたら、早い段階で子どもの困り感に気づけるのではないでしょうか。

その段階で、必要な環境整備を手伝ってくれる専門家や支援者の方と繋がれることができたら、不登校の在り方や捉え方が変わり、個々の子どもに合った学びと出会うチャンスが生まれてくると思います。

本来は、知りたい、やってみたい気持ちの塊である子ども達が、学ぶ楽しさを感じながら可能性を拓いて行けることを心より願っています。

イクミナルは、そのために必要なリソースを提供できるターミナルとして、これからも活動を進めてまいります。

 

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