不登校が増える今。あったらよい動き

普通教育の機会確保法が成立して、多様な学びが市民権を得るかのような新しい動きに湧き立った時から4年が経ちます。

この4年間、オンラインを通じて不登校のお子さんを持つ保護者の方々とオンライン交流会を実施して来ました。

そこで、家庭で抱えがちな課題は全国共通であることを知りました。

また、その中には、知ってさえいたら家庭で対応できることと、知っていても理解が難しく家庭では対応しきれないことがあると気付きました。

前者については、不登校理解セミナーとしてまとめて実施し、後者については、分析が必要と感じて課題の整理に努めてきました。

目次

  1. 不登校対応で意識したいこと
  2. 地域の親の会に公的なサポートが入ること
  3. 保護者の声を拾い上げ、代弁する存在があること
  4. オンラインでの相談対応が常時可能となること。
  5. 当事者性理解を高めること

不登校対応で意識したいこと

課題整理を試みてきた結果として、子どもと大人それぞれの心理面と、社会の一般的なものの見方と、実質的な学校システムの機能的問題。

この3点が絡み合っていると考えます。

更に言えば、外国籍の子どもの増加や貧困率の上昇、少子高齢社会、情報社会(超スマート社会)化の加速も、不登校を多様化させています。

これほどまでに、子ども達を取り巻く環境が複雑化していることを思うと、不登校という言葉で子どもをカテゴライズするのはリスキーです。

教育の範疇を超えて、福祉・医療・地方行政・民間の垣根を取り去って、できたら良いと思うこと書いてみます。

地域の親の会に公的なサポートが入ること


経験的知識を寄せ合い、子どもに関することに丸ごと対応している保護者同士が共感しあえる場は必須です。

しかし、そのような会を利用することは、今起きていることを受容することでもあり、足が向きにくい方は多いです。

できるだけ被害者や当事者の会という雰囲気を出さず(実際、そうではないですし)に、垣根の低いオープンな雰囲気作りや、地域内で「みんなで子育て」という意識を高めてゆくことも利用しやすさにつながると思われます。

また、そこで話して気持ちを楽にするだけではなく、声や疑問に対して必要な情報提供を行なうこと。

愚痴や怠慢として届かないように真意や深刻さを学校側に伝えて、実現可能なことをともに考えるようなアクションも必要でしょう。

これは、スクールソーシャルワーカーが行っていることと重なります。

学校付きのワーカー以外に地域付きのワーカーを設けて、このようなスタイルで早期対応を行うことは、長期化・深刻化の予防になるでしょう。

親の会の運営を手伝ってくれそうなところとして、地区社協や市役所・区役所の子どもに関する対応をしている部署・教育委員会が考えられます。

公費と書いていますが、行政が関連することで制約が生まれることもあります。なので、それがベストというわけではないでしょう。

それでも、公的サポートを求めることは国民としての権利の行使かと思います。(硬い表現ですみません)

保護者の声を拾い上げ、代弁する存在があること


現状は、保護者が主体的に立ち上げている場合が多いですが、困っている内容の幅広さや潜在している課題が見えにくいこと、それらの複合的な困り感で保護者も心理的に追い詰められている場合もあることを考えると、対応にはスキルも求められてきます。

言葉を選んで話しても、伝えた人と受け取った人では解釈が違うこともあり、ちょっとした誤解が距離をつくったり、存続しにくくなることもありますが、

保護者を支える専門職がいてくださると、主催側の心理的な負担が軽減して、続けやすくなります。

結果的に、参加者さんにも子ども達にもポジティブな波及効果が期待できます。経験からそのように思います。

期待していた場が閉じてしまったり、合理的・建設的な提案がない堂々巡りは、1日1日を頑張ってつないでいる人にとっては痛手です。

傷ついた経験の反芻や閉ざす要因とならないよう、インフォーマルの場も専門職のサポーターがいてくださると、本当に助かると思います。

これは、福祉の機関に勉強に行かせていただいたときに、ひとつのプログラムを実施するのに、プランニングやフィードバックの時間をしっかりとっているのをみて感じました。研修も役割分担もある程度義務付けられていて、それによって安心安全を作り上げています。保護者の会で運営側が葛藤するのは当然だと思いました。だから、頼るところはしっかり専門家さん達に伝えて行くことが、一般の保護者の役割だとも思います。


ピアサポートもとても有意義と思いますが、外部リソースと繋げる部分には、双方とつながれるフック🪝を持つ方の存在も必要と思われます。

私のいう「フック」というのは、それぞれの立場に届く言葉(共通言語)で話せる、もしくは互いのメッセージを通訳できることを指します。これが案外難しくて、有効な資源とつながり切れない要因だと感じています。


また、子どもに対する直接支援も、もちろん多様に必要です。

ただ、保護者が社会と子どもを繋ぐパイプ役となっている場合が多くあります。

でありつつ、どこにどう繋いだらよいのかわからなくて、一か八かつないでみたら流れなかった…みたいなことが起きています。

保護者が「適度な」ゆとりを持てることが、子ども達の心の安定に大きく関与していると感じています。

オンラインでの相談対応が常時可能となること。


居住地域での親の会は、顔を出しにくい事情を持つ方も案外多いため、オンラインでの相談にもニーズはあります。 

上記のような情報提供や、起きていることの代弁、気持ちの整理、一般的に使えるサービスの紹介を行うことにも、意味があるでしょう。

遠隔でもできることは結構あります。

一度で即座にどこかと繋げる電話交換士みたいなことはできませんが、これまでも何度かお話をお聞きしながら、必要な医療機関・心理検査・福祉のサービス・ソーシャルワーカー・地域の教育機関・オンライン学習などに、つないできました。

当事者性理解を高めること


家庭の困り感は、教育に関することだけではなく、さまざまな障害や疾病の懸念、収入や未来への不安など、生活全般にわたります。

不登校に対応する時、この漠然とした大きく厚い雲の中にいるような、トンネルの出口がみえないような感覚に対する理解が欠かせないと思います。

予期せぬことをどう受け止めたら良いのかわからず、気持ちの整理もつかないうちに、連絡や時間調整、断ったり謝ったり調べたり、しなくて済むならしたくないさまざまな対応が迫られます。

冷静に自分にとって何が大切なのか、子どもにどうなって欲しいのかを考える時間が持ちにくくなっています。

まずはそこに同じ目線で立ってくださること、そして、子どもと保護者の気持ちの理解だけではなく、その段階に合わせて実質的な選択肢を見つけていく対応が求められています。

保護者の怠慢で頼りすぎ。そう思われる方がいたら、一度バーチャルリアリティか何かで体験していただくと良いかもしれません。

子どもの気持ちや改善できたら良いことに向き合う前に、そのような不安定なゾーンに立っていることに理解と共感が得られることが、立ち向かうための必須アイテムと言えそうです。

これは、大人も子どもも同じですね。


最後に、地域性を知ること、現代社会を知ること、代弁力も大切です。

サービスや制度を知る以外に、当事者性を知ることが今後は欠かせないスキルや知識となっていくでしょう。

この記事は、まとめるまでに多くの時間とエネルギーを費やしました。出来るだけ伝わりやすい言葉で表現したかったため、何度も同じようなことを書き直してきました。

イクミナルで知り合った方が少しずつ親の会を運営し始めておられます。連携という言葉を受けとめてくださり、少しずつ地域行政とのつながりを持つ努力をしてらっしゃるようです。

もし、このサイトから何か得ていただけたときには、ひと言でもご感想をいただければ嬉しいです。

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